【中学受験】がんばれ!受験生

 藤岡教室6年生の冬の合宿(12月30日~31日)では「暗記祭」と称する理科のテストを行います。出題範囲は「地学」全体で,星・月・太陽・気象・流水・地層・岩石といった内容をふくみます。

 

 星の色とか岩石の名前とかを覚えるのは楽なことではありません。実際,授業中にこんなことを聞かれたことがあります。

 

「こんなもの覚えて何になるの? 絶対に役に立たへんやん」

 

 もっともな疑問で,天体物理学者や石屋さんにでもなるのでなければ,おそらく一生役に立つ場面はありません。ではなぜ,こんなことを勉強しなければならないのでしょうか。

 

「入試問題に出て来るねんからしゃあないやろ! ブツクサ言わんと勉強せえ!」

 

 これは塾講師のホンネが前面に出た答えですが,下の下だと言っていいでしょう。子どもたちが納得して勉強するとはとうてい思えません。このパターンの応用としては,

 

「中学入試というのは一種のゲームで,攻略するにはいろんなアイテムを手に入れないといけない」

 

というのがあります。現代の子どもさんには有効な一言かもしれません。

 

「たしかに難しいしめんどくさいなあ。でもな,理科という科目でいちばん大事な考え方のひとつが『分類すること』や。自然にあるいろいろなことがらの,似ているところがあるかどうかでいくつかに仲間分けする。これが科学の『基本』や。君らは理科の勉強で,その初歩に取り組んでいるわけや。将来どんな勉強をするにしても基本がなってないと上に上に積み重ねていかれへん。君らは今,大事な基本を身につけてるんやで」

 

 ちょっと値打ちをこいていますが,理科の講師としてはこういうことを言いたい。わかってもらえるかどうかはわかりません。
 もう一つ,これは理科に限ったことではなく,ほかの科目に関しても通用するやつがあります。では算数バージョンでどうぞ。

 

「そう,お店屋さんになるのでなければ損益算は必要ないかもしれないし,カレンダー見たらわかるんやから日暦算なんて不要や。時計算なんか役に立つ場面を思い浮かべることすらできん。でもな,そんな一見役に立たないことも一所懸命やってきたわけやろ。中学入試いうのはな,難しいことやめんどくさいこともがんばってできるようになりましたいうのを見てもらう場やねんで。どの中学も天才なんか来ていらんねん。中学高校の6年間,いろんなことをがんばってくれる子に来てほしいねん。がんばってくれる子かどうかどうやって判断する? 今までがんばってきたかどうかで判断するしかないやろ? 今までダラダラしてきたけどおたくの中学入れてくれたらきっとがんばります言うヤツなんか信用できひんやろ? 中学入試だけやなくて,入試なんて全部そうや。こんな難問解けるようになるまでがんばって勉強しました。入学させてください,入学してからももちろんがんばりますから。そういうことや。だからな,中学に入ったらそれで終わりやない。ええ中学ていうのは,そこでがんばった先輩たちが卒業してからいろんなところで活躍してるから『ええ中学』なんや。入学できたいうだけで満足するようなヤツはそういうとこ行く資格ないんやで」

 

 要は「行きたい中学に合格したかったらがんばるしかない」なのですが,勉強さぼりたい子をだまらせる力は持っています。特に,「努力しなくてもできる子なんて学校は求めていない」というところが響いているようです。
 中学入試本番まであと30日を切り,かわいい教え子たちの無駄口も減ってきました。真剣みも増してきたような気がします。彼ら彼女らが6年間がんばれる場所を無事に勝ち取れるよう,私たちは協力を惜しみません。

藤岡教室四谷大塚NET板宿本部校

出口 弘 

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