どこで文学作品と出合うのか
いきなりですが、大人の方に質問です。
「教科書に載っていた文章の中で、印象に残っているものはありますか?」
思い浮かんだもののほとんどが、「物語・小説」、つまり文学作品なのではないでしょうか。
登場人物の言動や心の動きを深く読み取り、自分と重ね合わせて考えたことが、ずっと心の底に残っているからでしょう。
さて、2022年度から、高校の学習指導要領が新しくなります。
国語で最も注目されているのが、「教科書から文学作品が消える?」ということ。
必修科目の「現代の国語」では、論理的文章・実用的文章の学習に重点を置き、文学作品は扱わないというカリキュラムになるため、一般的な履修のしかたでは3年間で学習する文学作品が大幅に減るということが大きな話題になりました。
この通達に従い、各教科書会社は文学作品が入っていないものを作成しました。
学習指導要領に沿っていないと検定に通らず、出版できないからです。
ところがふたを開けてみると1社だけ文学作品が5作品も掲載されていたのです。
しかも検定になぜか通ってしまい、通達を守った会社からは非難の声が上がりました。
さらにさらに、文学作品が掲載されている教科書の採択率がかなり高かったとのこと。
学校現場の先生たちも、「文学作品を学習しないのはまずい」と考えているからなのでしょう。
人によって、文学作品に触れる頻度はかなり差があります。
しかし、教科書に載っていれば一度は必ず読みます。
その「一度」があるかないかは、人生に少なからず影響を与えるのではないかと思われます。
「一度」が学校で経験できないのであれば、自分でチャンスを作らなければなりません。
つまり自分で本を探し、読むことです。
しかし、高校生からいきなり「自分で探せ」と言われても、それまでの経験がなければとても無理です。
ではいつから経験を積めばよい?「今でしょ!」(…もう古いですかね…)
小学生の皆さん、今まで国語のテキストで学習した物語の中で、続きが気になるものがありましたか?
まずはそこから始めてみましょう。
そして1作品読み終わったとき、「次は何を読もうかな…」という思いが湧いてきても、こなくても…本棚の前に立ち続けましょう。
だんだん本を見る目と、読解力と、豊かな心が育ってきますよ。
藤岡教室四谷大塚NET板宿本部校/岡本校
山口雄嘉子