【算数】難問への対応力

中学受験の難易度

中学受験の算数は非常に難しいです。

教える側の私から見ても、ものすごく難しいと感じる問題はたくさんあります。

 

この仕事をはじめて間もない頃は、難問にあたったときに「こんなに難しい問題を解ける小学生が果たして存在するのか」と感じたこともありました。

入試を突破するには、そのような難問を解くための非常に高度な職人技とでもいうべき力を身につけなければいけません。

 

難問が解けるようになる子ども

では、難問に対応する力をつけるにはどうすればいいのでしょうか。

ある数学者に「どうすれば算数(数学)を極められるのか?」と尋ねると、「解答を見るな」という答えが返ってきたという話を聞いたことがあります。

つまり、わからないなら何日間でも考え続けろということです。

 

たしかに、過去に灘中や甲陽学院中などの難関中学に余裕を持って合格した生徒たちの中には、こういうやり方を実践している子が多かったように思います。

授業中「あと5分で授業終わるからそろそろ解説するよ」と言うと、「今日家に帰ってから一晩中解き方考えるから解説しないで!」なんて返ってきたことが何度もあります。

 

こういう生徒の中には、算数の学力において私を超える子たちも現れます。

プロ棋士の藤井聡太七段が師匠を超えたようなものですね。

私が用意している解き方よりも素晴らしい解き方をする子たちもいて、「その解き方いいな!採用させてもらうわ!」なんて言うこともあります。

 

難問に先立って

では、難問対応力を身につけるコツは、解けるまでずっと考え続けることなのでしょうか。

もちろんそれも必要ですしそうできれば理想的ですが、入試までの時間には限りがあります。

ですから、解けなければそこそこの時間で切り上げて、解説を聞き、知識として解き方を吸収していくことも必要になります。

 

それで難しい問題を解説していると「先生めっちゃ頭いいわ~」などと言われることもあります。

そのときは「いや、別に頭がいいわけじゃなくて、長年この仕事やっててこれと似たような問題を何十回もやってるから解き方知ってるだけやで。君らの方がよっぽど頭いいで。」と答えています。

 

これは謙遜でも何でもなくそう思います。

生徒たちにとって初めて見る難問でも我々からすると一部を除いて見たことがある問題がほとんどです。

凡人の私でも生徒たちよりは見知った問題が圧倒的に多いというだけです。

ですから、解法を知識として身につけるということも中学受験においては非常に重要なことです。

 

難問に向かう力

しかし最近は、大学入試改革を見据えてのことでしょうが、過去に見たことがないような型にはまらない入試問題を以前に比べてよく見かけるようになりました。

こういった目新しい問題、初見の問題を解き切るにはどうすればよいのでしょうか。

 

ずいぶん昔、先輩教師に「わかるということは自分の中にある感覚と結びつくことだ」と言われたことがあります。

難問や初見の問題への対応力を身につけるには、この「わかる」という経験を増やす必要があります。

そのためには、自分の中にある感覚の幅を広げることが大事で、そうなるためには難しい問題にあたったときに、簡単にあきらめてしまわずに粘り強く頭の中で(あるいは紙に書いて)たくさん試行錯誤することが必要です。

 

算数が苦手な子は難しい問題にあたったとき、この問題は解けないと判断してしまい、解説を聞いて理解すればいいと思っています。

感覚の幅を広げる機会を失ってしまっています。これを私は「解説待ち症候群」と呼んでいます。

 

「一生懸命考え抜いて自力正解する

もしくは自力正解にまでは至らなくても行けるところまで自分の頭で解き進める

そうした方が、考えることを完全に放棄して解説を聞くよりも数倍身になるから、解説待ち症候群は絶対にやめなさい。」

と言います。

 

粘り強く解く習慣が身についている子は、今の時期はまだそれほどの力がなくても、入試が近づいてきた頃には見違えるほどの、ほれぼれとするくらいの難問対応力が身につきます。

 

塾では宿題にはあまり時間をかけ過ぎないようにと指導したりもしますが、もしご家庭で、本人が面白がって算数の問題を解いていることがあったら、時には気が済むまで考えさせてあげていただければと思います。

もちろん、他の科目の勉強時間を大幅に奪うようなことがあってはいけませんが…

 

算数の難問対応力を身につけるには、解法を知識として身につけることも必要ですが、一方でとことん考え抜くことも必要で、このバランスが大事です。

藤岡教室四谷大塚NET

伊藤 和彦

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