近畿の中学入試のおける社会科の扱い

【社会科が必要な学校】

2019年度入試から神戸海星女子学院が4教科/3教科選択型の入試になり、これで社会科を必須とする入試を実施している学校は、県内では神戸女学院だけになりました。

 

県外を見ても、近畿圏では大阪、奈良、京都でも兵庫県からの受験生を取り込むために3教科での受験が可能になっており、やはり社会科が必須になっている学校はありません。

ただし、前出の海星のように、社会科が選択教科になっている学校もいくつかあります。

 

受験生にとって、社会科を選択するかどうかは迷うところでしょう。社会科を選択することのメリット・デメリット、社会科が選択教科に入っている学校について、個別にみていきましょう。

 

【神戸海星女子学院】

以前は神戸女学院と変わらないくらい難しく、他の教科とりわけ理科と比べてもバランスの悪いものになっていました。ところが、2019年度入試からずいぶん易しくなっています。

 

これは、4教科受験生に不利にならないようにとの配慮と、全般的に入試問題の難易度の見直しが行われた結果ではないかと思われます。

この難易度が続くのなら、算数に難のある受験生にとっては、社会科をしっかりと勉強しておけばそれが算数の失点を補えることも十分に考えられます。

 

【須磨学園】

これまでの入試を見る限り、社会科選択が有利に働くには、かなり高得点が必要です。しかし簡単に高得点をとれるレベルではないので、須磨学園を第1志望にするのなら、3教科に絞って勉強するケースが一般的です。

 

【三田学園】

以前は4教科受験生が有利になるように、社会科の平均点が理科より高くなるような問題の難易度設定がなされていました。しかし、今年の入試を見ますと、理科と社会科の平均点の差はなく、特に4教科型受験のメリットはないものと思われます。

よって受験生それぞれの得手不得手から決めることになります。

 

【神戸大学附属】

適性検査で「市民社会」領域が社会科に当たります。

 

神戸大学附属の適性検査は、高倍率のため高得点が必要となり、記述問題が多いので、単純な暗記だけでは対応できない高難度なものとなっています。

 

「自然環境」(理科)との選択制になっているのですが、今年の入試結果を見ると、受検者833人中「市民社会科」を選択した人は男子28人、女子147人、うち合格者は男子3人、女子21人と極端に少なくなっています。おそらく女子で「市民社会科」を選択した受検生の多くは統一入試日に神戸女学院を受験しているものと思われます。

 

ただし、問題の難易度が高いとはいっても、それほど特別な勉強法を必要としているわけではありません。難易度の比較的高い学校を目指して取り組む勉強で身につける知識量があれば十分で、あとは、それを文章で表現するための記述力を磨くことです。

 

ですから、理科の苦手な受検生、統一入試日に4教科受験をする(選択する)受検生で、社会科で比較的点数が取れるなら、「市民社会科」を選択するのもいいと思います。

 

【社会科受講のメリットとデメリット】

以上、個々の学校についてみてきましたが、なんといっても社会科を勉強する最大のデメリットは、「1教科余分に勉強しなければいけない」ということでしょう。

特に6年次ではただでさえ勉強量が増えていくのに、それに社会科が加わるのでは大変です。覚えることが苦手な生徒さんにとってはかなりの負担になると思います。

ですから、社会科が得意でない生徒さんは、無理をして4教科に取り組む必要はありません。

 

各中学校も、受験者を確保したい思惑から、受験科目の減少は大きな流れのようです。

その一方で、ある中学校の社会科の先生が、「受験で社会科を勉強してきた生徒と全く勉強してこなかった生徒で基本的な知識量が違いすぎて、授業がやりづらい。」と嘆かれていたという話を耳にしたことがあります。

入試に出る、出ないにかかわらず、小学生の間にある程度は社会科の勉強もしておきたいところです。

受験校、受験パターンの幅を広げる意味でも、できれば5年生の間は、大きな負担にならないのならという条件付きですが、社会科の勉強をしておいても良いかもしれません。

 

藤岡教室四谷大塚NET

山口 和敏

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