「壁」にぶつかったとき

最近,立て続けに次のような相談を受けました。

 

「あんなにがんばったのに,組分けテストで点が取れなかった。もうこんな勉強は

やめてしまって,高校受験でがんばろうかなとお母さんに言った」

 

「(算数の図形問題の解説を見て)こんな補助線はとうてい思いつかない。どれだけ

がんばれば,こんな問題を解けるようになりますか?」

 

相談を受けたというよりは,生徒とのやりとりの中でちらっと出てきたというほうが適切かもしれません。

両方とも,幼いながら精いっぱいやっている中で出てきた,貴重な「本音」です。

 

前者には,まず「高校受験のほうが楽にちがいない」という誤解があると感じました。

それを指摘・否定したうえで,こう答えました。

 

「がんばったのにクラスが上がらなかったというのは,よくあること。

あなた以外にもがんばっている人はたくさんいるからね。

人と比較して何位に入るかというテストだからある程度は仕方がない。

大切なのは,自分が納得いくまでできたかということ。

それに,もっと効率的にできなかったのか振り返ってみることだよ」

 

たくさん質問しに来る生徒で,現時点では難しい問題(ここまではやらなくてもいいという問題)まで聞きに来ていたので,

基本的な問題をくり返してやる方が効果的だということを諭すように言いました。

こういうアドバイスは質問に来たときにすると「この問題は説明したくないんだな。このサボリめ」と受け取られることもあるので,

タイミングを選ばなければいけません。

 

 

後者は算数が大好きな子です。学年相応の内容よりはるかに高度な問題に取り組んでいますが,

「ずいぶんいろんな問題を解いてきたのに,それでもまるで歯が立たない問題があるなんて」とショックを感じたようです。

 

「勉強の世界は,進めば進むほど広がっていって,難問もそれだけたくさんあります。

今の時点でそれを感じるなんてすごいんだよ。

これから習っていくことで,このような問題も解けるようになります。

そのときにはまた,別の難問が出てきます。ワクワクしながら取り組んでください。

だいたい,全部の解き方をマスターしちゃったら,クリアの仕方がわかりきっているゲームと同じで,面白くないよね」

 

がんばる過程で自分の限界を感じるのはよくあることです。

寺田寅彦の随筆にもあるように,頭の良い子ほど早くあきらめてしまう場合もあります。

ただ,壁にぶつかっても,それを乗り越えることで人間は成長するものです。

 

藤岡教室では,限界に直面して悩んでいる子どもに対し,手取り足取りして乗り越えさせるのではなく,

自分の力で乗り越えられるようにヒントを与えてあとは見守るという方法をとっています。

藤岡教室代表 出口弘(算数科)

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