言葉はタイムマシーン

「帯枕」「罰当番」「テープレコーダー」「背広」「宿直室」「割烹着」「お銚子」「養老院」「OL」「お勝手」「御不浄」「鰹節をかく」…

 

夏期講習中、国語の読解問題で「これは何?どういう意味?」と質問が出た言葉の一例です。

令和の世の中には全く見られないものや、もはや「死語」となったものもありますね。

できるだけ今の言い方に置き換えたり、ものによっては実物を見せたりして説明しますが、今の小学生は「歴史」の勉強をしているようだと感じているのではないでしょうか。

 

「現代のことを題材にした文章もたくさんあるのに、なぜこんな古い時代の文章を使っているのか?」という疑問がわいてくるかもしれません。

しかし実際、中学入試でも毎年昭和時代やそれ以前のことを題材にした文章が出題されています。

考えられる理由はいくつかありますが、一つ挙げてみましょう。

 

 いま盛んに言われている「多様性の理解」。

多様性とは、幅広い年代に対する理解も含まれます。

自分の価値観や常識にとらわれず、書いてあることから「この時代はこうなんだ」と理解し、筆者の意見や登場人物の様子を読み解いていくことが求められています。

そのためには、ある程度幅広い年代の知識を持っておく必要があります。

 

余談ですが、授業をしていておもしろいなと思ったことを一つ。

上記の言葉で、「罰当番」「お銚子」「割烹着」「お勝手」を「わかる」と言った生徒に共通していたのが、「それって、『ドラえもん』『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』に出てきた!」と言ったこと。

出題される文章を書いている人は、これらの漫画の世界が日常だった世代がほとんどですから、自身の経験として漫画と同じようなシーンを書くのはある意味当然ですね。

 

 言葉は生き物なので、新しく生まれるものと消滅していくものがいつも交差しています。

しかし、生活の中では使われなくなっても、書物の中では生き続け、タイムマシーンとなって私たちをいろいろな時代へ連れて行ってくれます。

タイムマシーンの運転免許証を手に入れるためにも、いろいろな言葉を学んでいきましょう。

 

藤岡教室四谷大塚NET板宿本部校/岡本校
山口雄嘉子

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