【中学受験】女子校擁護論

少子化に伴う生徒募集の厳しさ

受験生確保のために男子校や女子校が共学に変わっていく

 

 これは全国的なもののようです。全国的に見て、女子校は(そしてそれ以上に男子校も)減少していっています。このまま、女子校は(そして男子校も)なくなっていく存在、いわば絶滅危惧種となってしまうのでしょうか。

 

 一方で、「名門」とされる学校は依然男女別学を維持しているところも多く、欧米では男女別学が見直されてきているとの話も聞きます。そのような中、女子校の存在意義というものは何なのでしょうか。

 最近元気のない女子校にも頑張ってもらいたく、女子校擁護論を展開してみましょう。

 

 女子校の多くは、その教育目標として「自立した女性、社会のリーダーとなる女性の育成」というものを掲げています。ここでいう「自立した女性の育成」を目的とした教育とはどういうものなのでしょうか。

 それについて、ある女子校の校長先生は、「ジェンダーを意識しないで、自分の個性を伸ばし、自己を実現できる力を養う」という意味のことをおっしゃっています。

 

 「ジェンダー」とは社会的、心理的性差のことで、社会的に期待される「男らしさ」、「女らしさ」のことといったらいいでしょう。

 「ジェンダーを意識しない」というと、男の子の目がないのではしたないふるまいをしてしまうということを想像されるかもしれません(それは実際あるようですが)。

 しかしもっと重要なのは、そこには男女の役割分担が一切ないということです。

 

 当然のことながら、学校行事などではどんな仕事もすべて女子がやらなければなりません。

 これも当然のことながら、生徒会長は女子、副会長も女子です。

 「部活の女子マネージャー」のように細かな仕事を「女の子だから」と割り当てられることもありません。

 

 それから、女子校の先生がよくおっしゃるのは、共学校の女子に比べて理系に進む割合が比較的高いということです。最近は「リケジョ」などともてはやされていますが、そもそもこうした言葉があること自体、理系に進む女子を特別視するという意識が社会にまだ残っていることの証でしょう。

 

 一方で、これはある中高一貫の共学校の先生に伺ったことですが、中学部ではいろいろな活動で女子の活躍が目立ち、成績も上位にあるのに、高等部へ上がると伸び悩んでしまう場合があるらしいのです。

 これは男女の成長の仕方が異なることからくるものでしょう。しかし、高校生ぐらいから、いまの社会において支配的なジェンダーというものを意識し始めるということも原因ではないかと考えられています。

 さらに、ある共学校(比較的近年男子校から共学校になった学校です)で、初の女子の生徒会長が誕生したときに、さまざまな軋轢があったという記事が、去年だったと思いますが新聞に掲載されていたことも思い出されます。

 

 結局、女子校のメリットとは何でしょうか。

 それは、上に書いた校長先生の言葉にあるように、そこはジェンダーを意識しないで本当の自分の個性を育むことのできる場であるということに尽きるのではないでしょうか。

 実際、社会でリーダー的な仕事をされている女性の多くは、女子校出身者であるということも事実のようです。

 「男女共同参画社会」ということがいわれていますが、まだまだ実現に至りません。

 皮肉なことに、だからこそ女子校の存在意義があるといえるのではないでしょうか。

 

藤岡教室四谷大塚NET板宿本部校

山口 和敏

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